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INNOVATIVE TECHNOLOGY

技術開発事例

01
INNOVATIVE TECHNOLOGY
高精細ディスプレイ(有機EL)の開発
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アルバックは、ディスプレイの製造に欠かせない真空成膜装置を中心にパネルメーカーへ納入、製造時に使用するターゲット材料なども含め、高精細なディスプレイの製造に貢献しています。

特に近年、OLEDデバイスは携帯電話用ディスプレイを筆頭に、大型テレビ用ディスプレイ、特殊・装飾照明など、一般消費者向け市場でも定着し始めています。OLEDとは有機EL(Organic Electroluminescence)という発光を伴う物理現象用いたもので、有機発光ダイオードを略してOLEDと呼ばれています。OLEDの特長を生かした次世代デバイスとして、フレキシブルディスプレイ・フレキシブル照明が期待されており、各社がしのぎを削りながらデバイス開発・材料開発、及び装置開発を進めています。

特徴

従来の液晶ディスプレイと比較して有機ELディスプレイには様々な特徴があります。

◆省電力

消費電力が従来の液晶ディスプレイと比べて低く抑えることができます。従来の液晶ディスプレイはバックライトを使って色を表現していました。しかし有機ELは自発光のためバックライトが不要になるため、その分の消費電力を抑えることが可能です。

◆薄型・フレキシブル

有機ELディスプレイはバックライトが不要になるためより薄くディスプレイを形成することが可能になります。またプラスチックのようなフレキシブルな基板を使うことでディスプレイを曲げたり折ったりより柔軟なものにすることが可能です。

◆コントラスト

従来の液晶テレビでは「黒色」を表現するためにバックライトを使って「黒色」を作っていました。有機ELは自発光のため、発光を止めることで純粋な「黒色」を明確に表現することが可能になりました。そのためディスプレイのコントラストがよりはっきりと表現することが可能です。また自発光の性質上、見る方向によって色合いが変わって見えてしまうような現象がなく、どの方向からでも同じコントラストを保つことが可能です。

構造

OLEDはサンドイッチ状のヘテロ構造と呼ばれる構造を持っています。各画素ごとに発光素子が構成されており、陰電極、電子注入層・電子輸送層、発光層、正孔輸送層・正孔注入層、陽電極、ガラス板などの基板により構成されています。電子層と正孔層を別にすることで、効率的な反応を起こすことが可能となります。電極間はそれぞれ数nmから数百nmの薄さしかなく、全体としても1μm以下の厚さしかない非常に薄い構造です。基板にプラスチックのようなフレキシブルな素材を利用することで、曲げたり折ったりすることができる新しいディスプレイを生産することも可能です。

アルバックの真空成膜装置におけるOLEDの製造プロセス

A 陽極/ポリイミド

ガラス基板に陽極を蒸着します。
フレキシブルOLEDの場合はポリイミドが塗布されます。
蒸着装置では蒸着前の基板の水分除去工程(ベーキング)を行います。

B 正孔(+)注入・輸送層

正孔(+)をRGB発光層まで運ぶ役割を担います。

C RGB発光層

各有機材料(赤(R)、緑(G)、青(B))を蒸着します。

D 電子(-)注入・輸送層

電子(-)をRGB発光層まで運ぶ役割りを担います。

E 電極

陰極(アルミニウム:Al、マグネシウム:Mg、銀:Ag、等)を蒸着します。

F 封止

有機ELが水分や大気に触れないように封止します。

02
INNOVATIVE TECHNOLOGY
SiCパワーデバイスの量産技術開発
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スマートシティの構築、地球温暖化問題の解決策としてパワーエレクトロニクスは重要な役割を担っています。パワーエレクトロニクスとは電力の変換、制御を行う技術であり、電車・自動車・太陽電池・エアコン等さまざまな場所で使用されています。パワーエレクトロニクスでキーとなるのがパワーデバイスであり、その性能としては電力損失が小さく、スイッチング速度が高速であることなどが重要です。

半導体材料のSi(シリコン)が数十年間パワーデバイスを牽引していますが、その物性で決まる理論的性能限界に近付いているため、今後の飛躍的な発展の期待は困難になってきています。Siに代わって期待される材料は、ワイドバンドギャップ半導体であるSiC(シリコンカーバイド)・GaN(ガリウムナイトライド)・ダイヤモンドであり、その中でもSiCは市場投入面で他の材料をリードしており開発が進んでいます。SiCはSiと比較して約3倍のバンドギャップ、約10倍の絶縁破壊電界、またパワーデバイスの性能を表すバリガ指数は2桁程高く、低電力損失化において重要な要素である動作時の抵抗を1/200にすることが可能になります。

アルバックではSiCデバイスの市場投入に向けて、電子機器事業部でSiC用イオン注入装置・活性化アニール装置を開発し、半導体電子技術研究所でプロセス開発・量産化技術開発を行い、更にはTPEC(Tsukuba Power-Electronics Con-stellations)に参画し、SiCデバイスに関わる量産プロセスの開発からSiCデバイスの実証試験、およびこれらを通しての装置完成度アップを行っています。TPECとは、産官学が協力してSiCパワー半導体の量産技術開発及び普及を推進する拠点として2012年4月に発足した組織であり,2010年から2012年まで、産総研・富士電機・アルバックで実施した、産業変革研究イニシアティブ「SiCデバイス量産試作研究およびシステム応用実証」を発展させたものとなっています。

これまで取り組んできたSiCデバイス製造のための量産化技術開発のテスト結果など、詳しくはVacuum Magazineをご覧ください。

私たちの暮らしの「当たり前」を安定して届けるために、
あらゆる機器にパワー半導体は組み込まれ、電力の安定供給、省エネを実現しています。

03
INNOVATIVE TECHNOLOGY
CMOSへ搭載可能な圧電MEMSデバイス向け量産用低温PZTスパッタリング技術の開発
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アルバックは、次世代のMEMSデバイスで主流となるCMOS搭載MEMSデバイス向け量産用低温PZTスパッタリング技術を世界で初めて開発しました(当社調べ/2015年3月25日時点)。

特徴
  • 誘電体専用スパッタリングチャンバの採用による、大型シリコン基板(φ8インチ)への高均一で安定した成膜技術
  • PZT薄膜の高速成膜と高スループット
  • 独自プロセスによる500℃以下の低温プロセスで高性能なPZT薄膜を量産技術で実現
  • PZT薄膜圧電膜の一貫形成(量産)が可能で再現性の高い積層プロセスを実現
背景

IoTに代表される"スマート社会"を実現する高性能・高付加価値デバイスであるスマートフォンやタブレットPC、自動車などには、加速度センサやジャイロセンサ、さらに圧力センサなどが使われています。近年、これら機能の根幹となる圧電材料として、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛, Pb(Zr,Ti)O3)の薄膜を用いた圧電MEMS (Micro Electro Mechanical Systems)デバイスの需要が高まっております。実用例として他にはインクジェットヘッドやカメラのオートフォーカス用アクチュエータなどがあります。さらに次世代技術として、圧電MEMSを半導体先進デバイスのCMOS(Complementary Metal Oxcide Semiconductor)と融合することでデバイスの高性能化・多機能化・小型化を図り、応用範囲の飛躍的拡大を目指した動きが加速しています。
実用化で最も有力とされているPZT圧電MEMSの場合、一般的にPZT薄膜の結晶化温度はスパッタリング法で600℃程度、Sol-Gel法で700℃程度と高温プロセスが必要なため、500℃以下の低温プロセスが必要なCMOSへの搭載が困難でした。アルバックは、独自技術によりCMOSへ搭載可能な圧電MEMSデバイス用PZT薄膜を500℃以下のスパッタリングプロセスにより形成し、最高レベルの圧電性能と素子の信頼性に必要な高絶縁耐圧、耐疲労性能を満たす技術を世界で初めて実現することができました。

技術の概要

PZT薄膜を用いた圧電素子はシリコン基板上に密着層、下部電極層、バッファ層、圧電層(PZT)、上部電極層と大きく分けて5つの層で形成されます。これら全てを積層した構造はアルバックの枚葉式スパッタリング装置「SME-200」で一貫して形成可能です。一貫成膜することで、各積層膜に対して最適化されたプロセス室で連続的な処理を行うことができ、再現性の高い積層プロセスの実現と、スループットの改善が可能です。この装置はMEMSデバイス製造ラインでは大型基板にあたるφ8インチシリコン基板へ高均一で安定的に素子形成することを技術開発の前提としています。よってDC及びRFマグネトロンスパッタリング室、結晶化促進のためのRTA(Rapid Thermal Annealing)室等、最大7室のプロセス室と、ロードロック室(仕込/取出室)の搭載が可能となります。
アルバックのPZTスパッタリング装置は、高揮発性材料の鉛を含むPZT特有の鉛組成制御と安定成膜技術を実現した誘電体専用スパッタリングチャンバを採用し、加熱した基板上にPZT薄膜を結晶成長させながら堆積させることができます。また、PZT薄膜の低温プロセスの実現にはアルバック独自のプロセス技術としてバッファ層をはじめとする新技術を採用し、500℃以下の低温プロセスでありながら、PZT薄膜の膜厚2.0 μmにおける電気特性は圧電定数(e31) : - 17 C/m2 , 絶縁耐圧: ±100V、サイクル特性: >1011回であり、PZT薄膜において世界最高レベルの性能を量産条件で確認しています。

今後の展望

本技術は、これまでPZT成膜時の高温プロセスにより制約のあったMEMSデバイス製造工程や基板ならびに電極膜の材質の選択肢を広げ、既存のMEMSデバイスの高性能化・多機能化・小型化に貢献します。アルバックは、ソリューションでMEMSデバイス技術をリードし、IoT社会の実現に向けた自立型センサ向けのセンシング素子、環境発電素子やマイクロロボットなどの最先端技術へ大きく貢献できるものと確信しています。

スパッタリング装置 SME-200

俯瞰写真 8チャンバ構成(7室のプロセス室とロードロック室)